協力して迷宮クリア!Code.org Minecraftを使ったプログラミング遊び
はじめに:遊びながら学ぶプログラミングの新しい扉
子供たちがプログラミングに触れる機会は増えていますが、「プログラミング」という言葉を聞くと、難しそうと感じる大人の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在の子供向けプログラミング学習ツールは、まるでゲームのように遊び感覚で取り組めるものがたくさんあります。特に、複数人で協力しながら進める活動は、子供たちの興味を引き出し、学びを深める良い機会となります。
今回は、Code.orgが提供する「アワー・オブ・コード」の中から、特に子供たちに人気の高いMinecraft(マインクラフト)をテーマにしたコースを活用した、グループでのプログラミング遊びをご紹介します。特別な準備はほとんど必要なく、インターネットに繋がったパソコンがあればすぐに始められます。
Code.orgのアワー・オブ・コードとは
Code.orgは、すべての人にコンピューターサイエンス教育の機会を提供する非営利団体です。そのCode.orgが毎年開催しているのが「アワー・オブ・コード(Hour of Code)」というキャンペーンです。これは、世界中の誰もが1時間だけプログラミングを体験してみよう、という取り組みです。
アワー・オブ・コードでは、様々なキャラクターやゲームを題材にした、初心者向けのプログラミングチュートリアルが用意されています。Webブラウザ上で動くため、ソフトウェアのインストールは不要です。そして、これらのチュートリアルは、マウス操作で「ブロック」を組み立てていく「ブロックプログラミング」方式を採用しています。ブロックプログラミングは、文字でコードを書く必要がないため、小さな子供でも直感的に操作でき、プログラミングの基本的な考え方である「順序立てて考えること」や「繰り返しの処理」などを遊びながら学ぶことができます。
なぜMinecraftテーマが子供に人気なのか
アワー・オブ・コードのチュートリアルの中でも、特に子供たちの関心を集めているのがMinecraftをテーマにしたコースです。Minecraftは、ブロックを置いて自由に世界を作り上げたり、冒険をしたりする人気のゲームです。子供たちは、普段遊んでいるゲームのキャラクターや世界を動かすプログラミングに触れることで、強い興味を持ちやすくなります。
Minecraftテーマのコースでは、画面上のMinecraftのキャラクター(アレックスやスティーブなど)を、ブロックを組み合わせたプログラムで操作し、特定の目標(例えば、木を切る、動物を避ける、迷路を進むなど)を達成することを目指します。ゲーム感覚で進められるため、子供たちは飽きずに楽しみながら取り組むことができます。
グループで楽しむCode.org Minecraftプログラミング活動アイデア
Code.orgのMinecraftコースは一人でも楽しめますが、複数人で一緒に取り組むことで、さらに学びや楽しさが広がります。ここでは、グループで取り組む具体的なアイデアをいくつかご紹介します。
アイデア1:交代でドライバーとナビゲーターになる(ペアプログラミング形式)
これは「ペアプログラミング」と呼ばれる手法を応用したものです。2人1組になり、一人がパソコンを操作する「ドライバー」、もう一人が次にどんなブロックが必要か、どう組み合わせるかを考える「ナビゲーター」の役割を担当します。
- 進め方:
- 子供たちを2人1組のペアにします。
- Code.orgのMinecraftコースを開きます。
- 最初の課題に、ドライバーがパソコン操作、ナビゲーターが手順を考える担当として取り組みます。
- 一つの課題がクリアできたら、役割を交代します。
- これを繰り返して、コースを進めていきます。
- グループでの学び:
- コミュニケーション能力: ナビゲーターは自分の考えを相手に分かりやすく伝える必要があります。ドライバーは相手の指示を正確に理解し、実行します。
- 協力: 2人で協力しないと課題はクリアできません。お互いの考えを聞き、より良い方法を見つけようと協力する姿勢が育まれます。
- 異なる視点: 一人で考えていると気づかないことでも、ペアで話し合うことで新しいアイデアが生まれることがあります。
アイデア2:みんなで相談して一つのプログラムを作る
より大きなグループ(3人以上)で1台のパソコンを囲んで、一緒にプログラムを作るアイデアです。
- 進め方:
- 子供たちを一つのグループにし、1台のパソコンの周りに集まります。
- Code.orgのMinecraftコースの課題を表示します。
- 「この課題をクリアするには、どうすれば良いかな?」とグループ全体で話し合い、解決策(プログラムの組み立て方)を考えます。
- 話し合った結果に基づき、代表者または順番にパソコンを操作してプログラムを組み立て、実行します。
- うまくいかなければ、「どこが悪かったかな?」「次はどうしてみよう?」と再度グループで話し合います。
- グループでの学び:
- 問題解決能力: 課題に対して多様な意見を出し合い、協力して解決策を見つけ出します。
- 論理的思考力: みんなで話し合いながら、手順を整理し、論理的に考えを進める練習になります。
- 合意形成: 様々な意見がある中で、グループとして一つの結論を出すプロセスを学びます。
- 貢献意識: グループの一員として課題クリアに貢献しようとする意識が芽生えます。
アイデア3:タイムトライアルや課題クリア競争(遊び要素をプラス)
上記のアイデアに競争や時間制限といった遊びの要素を加えることで、さらに盛り上がることができます。
- 進め方:
- 複数のグループに分かれます。
- 同じ課題に対して、どちらのグループが早くクリアできるか、あるいは指定された時間内にいくつの課題をクリアできるかを競います。
- 難易度の高い課題に挑戦し、クリアできた数を競う形式も良いでしょう。
- グループでの学び:
- 効率的な考え方: 時間を意識することで、より効率的なプログラムの組み立て方を考えるようになります。
- チームワーク: チーム内で役割分担をしたり、協力してスピードアップを目指したりします。
- 目標達成意識: チームで設定した目標に向けて、協力して努力する経験ができます。
準備と手順:すぐに始められます
Code.orgのMinecraftコースを使った活動を始めるために必要な準備は非常にシンプルです。
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必要なもの:
- インターネットに接続できるパソコンまたはタブレット。複数台あると、複数のグループで同時に進められます。
- Webブラウザ(Google Chrome, Firefox, Safariなど)。
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Code.orgサイトへのアクセスとコースの探し方:
- Webブラウザを開き、「Code.org」と検索するか、直接ウェブサイトのアドレス(code.org)を入力してアクセスします。
- サイトのメニューから「Learn」や「Students」といった項目を探し、「Hour of Code」または「アワー・オブ・コード」のセクションに進みます。
- 様々なアクティビティが表示されている中から、Minecraftのコース(通常「Minecraft Hour of Code」といった名前です)を選択します。
- 複数のMinecraftコースがありますが、最初は一番最初のコースから始めるのがおすすめです。(例:「Minecraftデザイナー」「Minecraft冒険」など)
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アカウント登録について:
- アワー・オブ・コードのほとんどのコースは、アカウント登録なしで「いますぐ試す」のようなボタンからすぐに始めることができます。
- ただし、アカウントを作成すると、子供たちの進捗状況を保存したり、次にアクセスしたときに続きから始めたりすることができて便利です。もし可能であれば、引率する大人のアカウントを作成し、クラス(グループ)を作成して子供たちを登録してあげると管理がしやすくなります。登録も簡単な操作で済みます。
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実際の操作:
- コースを選択すると、動画の説明が入ることがあります。動画を見終わるかスキップすると、プログラミング画面が表示されます。
- 画面は通常、左側にキャラクターや世界が表示される「実行画面」、中央に使えるブロックが表示される「ブロックパレット」、右側にブロックを組み立てる「ワークスペース」という構成になっています。
- 「ブロックパレット」から必要なブロックを選び、「ワークスペース」にドラッグ&ドロップして積み重ねていきます。
- ブロックを組み合わせたら、「実行」ボタンを押してプログラムを動かします。
- 課題がクリアできたら次の課題に進みます。
この活動から子供たちが学ぶこと(教育的意義)
Code.orgのMinecraftコースを使ったグループ活動は、単に楽しいだけでなく、子供たちの様々な能力を育む教育的な意義があります。
- 論理的思考力と問題解決能力: 課題をクリアするためには、「どうすればキャラクターを動かせるか」「どの順番でブロックを並べれば目標を達成できるか」を順序立てて考え、発生した問題を解決する必要があります。
- 創造性と試行錯誤: 一つの課題には複数の解決方法があることもあります。様々なブロックの組み合わせを試したり、より効率的な方法を考えたりすることで、創造性や粘り強く試行錯誤する力が養われます。
- 空間認識能力: 画面上のキャラクターや環境を理解し、どのように動かせば目的の場所にたどり着けるかを考える過程で、空間を把握する能力が鍛えられます。
- 協調性とコミュニケーション能力: グループで取り組む場合、他の人の意見を聞き、自分の考えを伝え、協力して一つの目標に向かう経験は、社会性や協調性を育みます。
- デジタルリテラシーへの第一歩: コンピュータを単なるおもちゃとしてではなく、自分の考えた通りに動かすためのツールとして捉える経験は、これからの時代に必要なデジタルリテラシーの基礎となります。
これらの力は、プログラミングの分野だけでなく、学校での学習や日常生活においても非常に役立つものです。
まとめ:手軽に始めて、みんなで楽しむプログラミング
Code.orgのアワー・オブ・コード Minecraftコースは、プログラミング未経験の大人でも子供たちと一緒に楽しみながら取り組める、非常に優れたツールです。準備が簡単で、インターネット環境があればすぐに始められる手軽さも魅力です。
孫や地域のお子さんと一緒に、あるいは学習グループの活動として、ぜひCode.orgのMinecraftコースを活用してみてください。子供たちが目を輝かせながら協力し合い、試行錯誤を重ねて課題をクリアする姿は、きっと素晴らしい発見と喜びをもたらしてくれるはずです。遊びの中から生まれる学びの可能性を、Code.org Minecraftで体験してみませんか。