みんなでタスクを分解!オフラインで学ぶ手続き(関数) プログラミング思考を育むグループ活動
記事の概要
プログラミングにおける重要な概念の一つに、「手続き」や「関数」と呼ばれるものがあります。これは、一連のまとまった処理に名前をつけ、必要に応じて何度でも呼び出せる仕組みです。これにより、プログラム全体が分かりやすくなり、効率的に開発を進めることができます。
この「手続き」の考え方は、実は日常生活にも深く根ざしています。例えば、料理のレシピや掃除の手順など、私たちは普段からタスクを小さなまとまりに分け、それを組み合わせて複雑な作業を行っています。
この記事では、特別な道具を使わず、身近なタスクをテーマにしながら、子供たちが遊びを通してこの「手続き」の概念を学ぶことができるオフラインでのグループ活動アイデアをご紹介します。準備が簡単で、複数人で協力して楽しめるため、ご家庭や地域の子供向け活動にも取り入れやすい内容です。
なぜ「手続き(関数)」を学ぶことが大切か
プログラミングでは、同じような処理を何度も書く代わりに、それを一つにまとめて名前をつけ、必要になったときにその名前を呼び出すという方法がよく使われます。これが「手続き」や「関数」の基本的な考え方です。
この考え方を学ぶことは、子供たちの思考力や問題解決能力を高める上で非常に役立ちます。
- 論理的思考力: 複雑なタスクを小さなステップに分解し、それぞれの関連性を理解する力が養われます。
- 抽象化: 具体的な手順の集まりを一つの「まとまり」として捉え、名前をつけることで、物事を単純化して考える力が育まれます。
- 効率性: 同じ処理を何度も書く手間が省けるように、日常生活でも繰り返しの作業を効率化する方法を考えるきっかけになります。
- 構造化: タスク全体を小さな手続きの組み合わせとして捉えることで、物事の構造を理解する力が向上します。
これらの力は、プログラミングだけでなく、学習や日常生活におけるさまざまな問題に取り組む上での基礎となります。
みんなで挑戦!身近なタスクで学ぶ手続き(関数)遊び
この活動は、紙とペン、そして子供たちの身近にあるものをテーマにして行います。特別な準備はほとんど必要ありません。
1. テーマとなるタスクを決める
まず、子供たちと一緒に、全員が知っている簡単な日常のタスクを一つ決めます。例としては以下のようなものがあります。
- おもちゃを片付ける
- 朝起きてから家を出るまで
- 簡単な料理(おにぎりを作る、サンドイッチを作るなど)
- 絵の具セットを用意する
- 朝顔に水をやる
グループの子供たちの年齢や興味に合わせて、身近で具体的なタスクを選ぶことが重要です。
2. タスクを細かく手順に分解する
決めたタスクを、できるだけ細かく具体的な「動き」や「動作」の単位に分解します。一つ一つの手順を大きな紙やホワイトボードに書き出したり、付箋やカードに一つずつ書いたりすると、視覚的に分かりやすくなります。
例えば、「おもちゃを片付ける」というタスクなら、以下のように分解できるでしょう。
- おもちゃのある場所へ行く
- ブロックを掴む
- おもちゃ箱のふたを開ける
- ブロックをおもちゃ箱に入れる
- おもちゃ箱のふたを閉める
- 次のおもちゃを探す
- (以下、繰り返す)
- 全てのおもちゃを入れ終わる
- おもちゃ箱を元の場所に戻す
この分解の過程で、子供たちに「もっと細かくできないかな」「この動きには他にどんな言い方があるかな」と問いかけながら進めると、より深く考えることにつながります。グループで話し合いながら進めることで、様々な視点からの意見が出やすくなります。
3. 「まとまり(手続き)」を見つけて名前をつける
分解した手順を眺めて、同じような繰り返し出てくる動きや、一連で意味のある動きがないかを探します。それらを一つの「まとまり」として捉え、分かりやすい名前(「手続き名」)をつけます。
例えば、上記の「おもちゃを片付ける」の例では、「ブロックを掴む」「おもちゃ箱のふたを開ける」「ブロックをおもちゃ箱に入れる」「おもちゃ箱のふたを閉める」という一連の動作が何度か繰り返されることに気づくかもしれません。
この繰り返し部分を「ブロックを入れる」という「まとまり(手続き)」として定義し、名前をつけます。紙にそのまとまりの中の手順を書き出し、上に手続き名を大きく書いたカードなどを作ると良いでしょう。
他の例として、「おもちゃのある場所へ行く」は「移動」という手続き、「全てのおもちゃを入れ終わる」は「完了確認」という手続き、といったように、意味のある区切りでまとまりを作ることができます。
4. 「まとまり(手続き)」を組み合わせてタスクを再構築する
定義した「まとまり(手続き)」と、まとまりにできなかった単独の手順のカードなどを使って、元のタスクをもう一度最初から最後まで並べ直してみます。
「おもちゃを片付ける」なら、以下のようになるかもしれません。
- 移動 (手続き)
- ブロックを入れる (手続き)
- ブロックを入れる (手続き)
- 次のおもちゃを探す
- ブロックを入れる (手続き)
- 完了確認 (手続き)
- おもちゃ箱を元の場所に戻す
このように、細かく分解した手順を直接並べるよりも、定義した「まとまり(手続き)」を使うことで、手順全体がずっと短く、分かりやすくなることを実感してもらいます。
5. 発表と振り返り
グループごとに作った手順を発表し合います。他のグループの発表を見ることで、同じタスクでも様々な分解の仕方やまとまりの作り方があることを知ることができます。
活動の最後に、「どんなまとまりが見つかったかな」「まとまりを使うと何が良いことがあるかな」など、簡単な問いかけで振り返りを行うと、子供たちの学びを深めることができます。
この活動から得られる学び
この「タスク分解と手続き化」の活動を通じて、子供たちはプログラミングの基礎となる「手続き(関数)」の概念を体感的に理解することができます。
また、グループで一つのタスクに取り組み、話し合いながら手順を考え、まとまりを見つけて名前をつける過程は、自然と協力する力やコミュニケーション能力を育みます。友達の意見を聞き、自分の考えを伝える機会にもなります。
特別な技術や高価なツールは一切必要ありません。身近な生活の中にある「タスク」を遊びの題材にすることで、プログラミング的な考え方が決して特別なものではなく、日々の生活と繋がっていることを子供たちは学ぶでしょう。
まとめ
プログラミングの「手続き(関数)」の概念は、複雑なことをシンプルに考え、効率的に進めるための強力なツールです。この記事で紹介したオフラインでのグループ活動は、この重要な概念を子供たちが遊びながら、そして友達と協力しながら学ぶための一つの方法です。
身近なタスクを題材にすることで、子供たちは学んだことがすぐに生活と結びつくことを実感でき、プログラミング的思考を楽しく身につけることができます。ぜひ、ご家庭や子供たちの集まる場で、この活動を取り入れてみてください。準備の手軽さと子供たちの夢中になる姿に、きっと驚かれることでしょう。