Makey Makeyで身の回りが楽器に!協力して作るプログラミング音楽会
身近なものがプログラミングで楽器に変わる? Makey Makeyの魅力
子供たちがプログラミングに触れる方法は様々ですが、中でも驚きと楽しさを伴う体験は、学ぶ意欲を大きく引き出します。もし、身の回りにある普通のものが、プログラミングの力で楽器になったり、ゲームコントローラーになったりしたら、子供たちはどのような反応を示すでしょうか。
これを可能にするツールの一つに、「Makey Makey(メイキーメイキー)」があります。Makey Makeyは、電気を通す素材であれば何でもパソコンのキーボードやマウスの入力に変換できるユニークな発明キットです。バナナや粘土、アルミホイルなどが、触れるだけでパソコンに信号を送る「ボタン」や「鍵盤」になります。
この記事では、Makey MakeyとビジュアルプログラミングツールであるScratch(スクラッチ)を組み合わせて、子供たちがグループで協力しながら「身の回り音楽会」を開催するプログラミング活動のアイデアを紹介します。特別な技術は必要ありません。子供たちの自由な発想と協力を促しながら、楽しくプログラミング的思考を育むことができます。
Makey Makeyを使ったグループ活動アイデア:身の回り音楽会
Makey Makeyを使った「身の回り音楽会」は、子供たちが身近な素材を集め、それらをプログラミングで楽器に変身させ、協力して一つの音楽を作り上げる活動です。
活動の概要
- 楽器にする素材を集める: 電気を通す性質を持つ身近なもの(例:フルーツ、野菜、水に濡らしたスポンジ、アルミホイル、鉛筆の芯で塗った紙など)を子供たちに集めてもらいます。
- Makey Makeyと素材を繋ぐ: 集めた素材を、ワニ口クリップを使ってMakey Makey本体に繋ぎます。Makey MakeyはUSBケーブルでパソコンに接続します。
- Scratchでプログラミング: Scratchを開き、Makey Makeyからの入力(特定のキーが押されたという信号)に応じて、特定の音を鳴らすプログラムを作成します。
- 協力して演奏する: それぞれが作った「楽器」とプログラムを使って、グループで協力しながら自由に音を出し、音楽会を開きます。
準備するもの
- Makey Makey本体と付属のワニ口クリップ、USBケーブル
- Scratchが動作するパソコン
- パソコンから音を出すためのスピーカー(パソコン内蔵のものでも構いません)
- 電気を通す性質を持つ身近な素材(フルーツ、野菜、アルミホイルなど)
- 必要に応じて、延長用のワニ口クリップや導電性テープなど
これらの準備は比較的簡単で、特別な電子工作の知識は必要ありません。
活動の手順(例)
- グループ分けと役割決め: 参加人数に応じていくつかのグループに分けます。各グループ内で、素材集め担当、Makey Makey接続担当、Scratchプログラミング担当、演奏担当など、子供たちが話し合って役割を決めると、主体性が育まれます。
- 楽器素材の収集と準備: グループごとに、自分たちが「楽器にしたい」と思う素材を集めます。バナナの皮をむいたり、野菜を切ったり、アルミホイルを丸めたり、準備をします。
- Makey Makeyの接続: Makey Makey本体をUSBケーブルでパソコンに繋ぎます。次に、ワニ口クリップの一端をMakey Makeyの入力端子(SpaceやClick、矢印キーなどが割り当てられています)に挟み、もう一端を集めた素材に挟んで繋ぎます。参加者が「接地」するためのクリップも忘れずに繋ぎます。これは、人体を通して電気が流れることで回路が閉じるために必要です。
- Scratchでのプログラミング: パソコンでScratchを起動します。Makey Makeyはパソコンからはキーボード入力として認識されるため、「〇〇キーが押されたとき」というブロックを使ってプログラムを作成します。例えば、「スペースキーが押されたとき」に「ドレミの音を鳴らす」といった簡単なプログラムから始められます。複数の音や効果音を割り当てていくことで、オリジナルの楽器セットが完成します。
- 演奏の練習と発表: プログラムが完成したら、グループで協力して実際に素材に触れて音を鳴らしてみます。意図した音が出るか確認し、必要に応じてプログラムや接続を調整します。慣れてきたら、簡単なリズムやメロディーを協力して演奏する練習をします。最後に、他のグループに向けて演奏を発表する機会を設けると、達成感と共有する喜びが生まれます。
この活動から子供たちが学べること
このMakey Makeyを使った音楽会活動は、単にプログラミングのスキルを学ぶだけでなく、子供たちの多様な能力を引き出す機会となります。
- 創造性と発想力: どんなものが電気を通すのか、どんなものを楽器にできるのか、自由な発想で素材を選び、活用方法を考えます。
- 問題解決力: 「音が鳴らないのはなぜだろう?」「もっと面白い音にするには?」といった問題に直面した際に、原因を考え、解決策を試行錯誤する力が養われます。
- 論理的思考: Scratchで「この素材(〇〇キー)に触れたら、この音を鳴らす」という論理的な繋がりをプログラムとして表現します。原因と結果の関係性を理解し、順序立てて考える力が育まれます。
- 協調性・コミュニケーション: グループで一つの目標に向かって協力します。役割分担、アイデアの共有、互いに教え合うことなどを通じて、コミュニケーション能力や協調性が向上します。
- 科学への関心: 電気を通すものと通さないものがあること、人体も電気を通すことなど、電気の簡単な性質を遊びを通して体感し、身近な科学への関心を持つきっかけになります。
- 表現力: 集めた素材とプログラミングを組み合わせて、自分たちのオリジナルの音楽を表現します。
活動をより豊かにするためのヒント
- 難易度を調整する: 初めての場合は、少ない素材と簡単なScratchプログラムから始めます。慣れてきたら、複数の音を同時に鳴らしたり、音の大きさを変えたり、背景を変えたりと、Scratchの機能を活用してより複雑な演奏に挑戦することもできます。
- 他の表現と組み合わせる: 音だけでなく、Scratchでスプライト(キャラクター)を動かしたり、背景の色を変えたりするプログラムと連携させると、視覚的にも楽しいインタラクティブアートになります。
- テーマを決める: 例えば、「森の音楽」「未来の音」「身近な音で奏でるハーモニー」など、音楽会のテーマを決めることで、素材選びやプログラミングの方向性が定まり、より創造性が刺激されます。
- 発表の場を大切に: 作った楽器と演奏を家族や友達に披露する時間を設けることで、子供たちのモチベーションを高め、成功体験に繋がります。
まとめ
Makey Makeyを使ったプログラミング音楽会は、子供たちが身近なものに新たな価値を見出し、遊び感覚でプログラミングの基本や論理的思考、そして何よりも大切な協調性や創造性を育むことができる活動です。準備も比較的簡単で、特別な知識がなくても始められます。ぜひ、ご家庭や地域の活動で、子供たちと一緒に身の回りのものを楽器に変身させて、世界に一つだけのオリジナル音楽会を開催してみてください。この体験が、子供たちのプログラミングや科学への興味の扉を開くきっかけとなることを願っています。