Makey MakeyとScratchで!身近なもので作る協力ゲームコントローラー
身近なものがコンピューターの入力になる?驚きと発見のプログラミング遊び
子供たちがプログラミングに触れるきっかけは様々ですが、普段触れている「モノ」がコンピューターと繋がることで、大きな興味を持つことがあります。今回は、Makey MakeyというツールとScratchというプログラミングツールを組み合わせ、身近な材料を使ってオリジナルのゲームコントローラーを作る活動をご紹介します。この活動は、グループで協力しながら進めることができ、遊び感覚でプログラミングの基本的な考え方やものづくりの楽しさを体験できます。
Makey Makeyとはどのようなツールか
Makey Makeyは、身近にある導電性のあるもの(電気を通すもの)を、コンピューターのキーボードやマウスの代わりとして使えるようにする電子工作ツールです。バナナや粘土、アルミホイルなど、様々なものがMakey Makeyに繋ぐことで、コンピューターへの入力装置に変わります。専門的な知識はほとんど必要なく、ワニ口クリップで「アース」としたいものと「キーボードのキー」にしたいものを繋ぐだけで準備ができます。子供たちにとっては、目の前の不思議な体験から「これとこれが繋がるの?」という驚きや発見が生まれます。
Scratchとはどのようなツールか
Scratchは、MITメディアラボが開発した、子供向けのビジュアルプログラミング言語です。画面上のブロックを積み木のように組み合わせてプログラムを作ります。文字によるコード入力ではなく、視覚的に分かりやすい操作でプログラムを作成できるため、プログラミングが初めての子供でも直感的に理解しやすいのが特徴です。Scratchを使うことで、キャラクターを動かしたり、音を出したり、ゲームを作ったりと、様々な作品を生み出すことができます。
Makey MakeyとScratchで作るオリジナルコントローラー活動の紹介
この活動では、Makey Makeyを使って自分たちだけのゲームコントローラーを作り、そのコントローラーでScratchで作った簡単なプログラム(ゲーム)を操作することを目指します。
遊びの概要
子供たちはグループに分かれ、協力してコントローラーのデザインを考え、段ボールやアルミホイル、粘土などの身近な材料を使って物理的なコントローラーを作成します。同時に、Scratchで簡単なプログラムを用意し、コントローラーのボタン操作とプログラムの動きを連動させます。例えば、アルミホイルで作ったボタンを押したらScratch上のキャラクターがジャンプする、粘土で作ったボタンを押したら音が鳴るといった具合です。最後に、自分たちが作ったコントローラーでプログラムを操作して遊びます。
グループでの取り組み方
この活動は、いくつかの役割に分けてグループで協力して行うのに適しています。 * コントローラーデザイン班: どんな形のコントローラーにするか、ボタンはいくつ必要か、どんな材料を使うかなどを話し合い、デザインを考えます。 * コントローラー作成班: デザイン案に基づいて、段ボールを切ったり、アルミホイルを貼ったり、粘土をこねたりしてコントローラー本体を物理的に作成します。 * Scratchプログラミング班: Makey Makeyの入力(どのボタンがどのキーに対応するか)に合わせて、Scratchで操作したいプログラムを作成または改造します。 * 連携・テスト班: Makey Makeyとコンピューター、作成したコントローラーを繋ぎ、Scratchのプログラムが意図通りに動くかテストします。問題があれば、どこに原因があるか(コントローラーの接触不良か、プログラムの間違いかなど)を協力して探し、改善します。
全員でアイデアを出し合いながら、それぞれの担当で協力して一つの作品を完成させる過程が、この活動の重要なポイントです。
準備するもの
この活動に必要なものは比較的少なく、準備も簡単です。 * Makey Makeyキット * Scratchが動作するコンピューター(インターネット接続推奨) * 導電性のある身近な材料(アルミホイル、粘土、濡らした布、果物など。今回はアルミホイルや粘土などが扱いやすいでしょう) * コントローラーの土台となる材料(段ボール、厚紙など) * ハサミ、セロハンテープ、両面テープ、ペンなど
具体的な手順
- アイデア出し: グループで集まり、どんなゲームを操作したいか、それにはどんなコントローラーが必要かを話し合います。「ジャンプボタンと移動ボタンが欲しい」「音をたくさん鳴らしたいからボタンを増やそう」など、自由にアイデアを出し合います。
- デザインと材料選び: 話し合ったアイデアをもとに、コントローラーのラフデザインを描きます。使う材料を決め、必要な分だけ準備します。
- コントローラーの作成: 段ボールなどでコントローラーの形を作り、アルミホイルや粘土を使ってボタンや操作部分を取り付けます。Makey Makeyのワニ口クリップを挟めるように、アルミホイルの端を少し立ち上げるなどの工夫をすると良いでしょう。
- Makey Makeyの接続: Makey Makeyの基板にワニ口クリップを繋ぎます。コントローラーの各ボタンに対応するワニ口クリップをMakey Makeyのキー入力端子(矢印キーやスペースキーなど)に繋ぎます。子供たちが持つ「アース」用のクリップ(これは必ず誰か一人が触っている必要があります)をMakey Makeyの「Earth」端子に繋ぎます。Makey MakeyをUSBケーブルでコンピューターに繋ぎます。
- Scratchプログラミング: Scratchを開き、Makey Makeyで割り当てたキー入力(例:上矢印キー)に対してどのような動作をするかプログラムを作成します。例えば、「[上向き矢印キー]が押されたとき [10歩動かす]」や「[スペースキー]が押されたとき [ニャーの音を鳴らす]」といった簡単なブロックを組み合わせます。既存のScratchゲームを読み込んで、操作方法をMakey Makeyコントローラーに合わせるようにプログラムを改造しても良いでしょう。
- テストと改善: 完成したコントローラーとScratchプログラムを組み合わせて動かしてみます。ボタンを押して意図通りに動くか確認します。もし動かない場合は、Makey Makeyの接続、材料の導電性、Scratchのプログラムなどを順番にチェックし、原因を見つけて改善します。
この活動から学べること
この「身近なもので作る協力ゲームコントローラー」の活動を通じて、子供たちはプログラミング的思考だけでなく、様々な力を育むことができます。
- 創造性とデザイン思考: ゼロからアイデアを出し、身近な材料でそれを形にするプロセスは、創造性やデザイン思考を養います。
- 問題解決能力: 意図通りに動かないときに、「なぜだろう?」「どうすれば解決できるだろう?」と原因を探り、試行錯誤する過程は、論理的な思考力と問題解決能力を高めます。
- 協調性とコミュニケーション能力: グループで役割分担し、お互いの意見を聞きながら協力して一つの目標に向かう経験は、協調性やコミュニケーション能力を育みます。
- プログラミングの基礎理解: Makey Makeyの「入力」とScratchの「出力」を結びつけることで、プログラムがどのように外部からの刺激に反応して動くのかという基本的な仕組みを体験的に理解できます。ハードウェア(コントローラー)とソフトウェア(プログラム)の連携についても感覚的に掴むことができます。
- 科学への興味: 導電性という身近なものの性質に触れることで、科学的な現象への興味を持つきっかけにもなり得ます。
まとめ
Makey MakeyとScratchを使ったオリジナルゲームコントローラー作りは、子供たちが遊び感覚でプログラミングやものづくりに触れる素晴らしい機会です。複雑な技術は必要なく、身近なもので手軽に始められるため、初めてのグループ活動にも適しています。大人は子供たちの自由な発想を見守り、困っている時にヒントを与えたり、安全に作業が進むようにサポートしたりすることで、子供たちの学びをより豊かなものにすることができます。この活動が、子供たちの新たな興味を引き出し、協力して何かを作り上げる楽しさを知るきっかけになれば幸いです。