MESHブロックで遊びながら学ぶ:センサーやボタンを使った楽しい仕掛けをみんなで作るアイデア
MESHブロックで身近なものを「プログラミング」する楽しさ
子供たちがプログラミングを遊び感覚で学ぶためのツールは数多くありますが、デジタルな画面の中だけでなく、身の回りのものと連携させて学べる教材として、ソニーのブロック型プログラミング教材「MESH™(メッシュ)」があります。
MESHは、様々な機能を持つ小さなブロック(「MESHブロック」と呼びます)を組み合わせることで、身の回りのものをセンサーにしたり、動きに合わせて反応させたりといった「仕掛け」を簡単に作ることができます。専門的な知識がなくても、まるでブロック遊びのように直感的に扱えるため、プログラミングに初めて触れるお子さんや、指導する大人の方にとっても取り組みやすい教材と言えるでしょう。
ここでは、このMESHブロックを活用し、センサーやボタンを使った楽しい仕掛けをみんなで作るグループ活動のアイデアをご紹介します。複数人で協力しながら、身近な世界にちょっとした驚きや楽しさを生み出す経験を通じて、プログラミング的な考え方や協調性を育むことができます。
MESHブロックとは:触って試せる「機能ブロック」
MESHブロックには、「ボタン」「動き」「明るさ」「温度・湿度」「LED」「スピーカー」など、それぞれ異なる機能を持つ様々な種類があります。これらのブロックは無線(Bluetooth)でタブレットやスマートフォンと接続し、専用のアプリ上でブロックを線でつなぐことで、「もしボタンが押されたら、スピーカーから音を鳴らす」「もし部屋が暗くなったら、LEDを光らせる」といった動作を簡単にプログラミングできます。
アプリ上でのプログラミングは、機能を表すアイコン化されたブロックをドラッグ&ドロップで並べ、つなぐだけの簡単な操作です。難しいコードを書く必要はありません。子供たちは、まるで絵を描くように、自分が作りたい仕掛けの動きをアプリ上で表現することができます。
センサーとボタンを使ったグループ「仕掛けづくり」アイデア
MESHブロックの魅力は、物理的なブロックを実際に触って配置し、それがデジタルな命令と連携して動く様子を体験できる点にあります。グループで取り組む場合、一人ひとりが異なるMESHブロックを担当したり、役割分担をしたりすることで、協力しながら一つの大きな仕掛けを作り上げることが可能です。
アイデア例1:触ると音が鳴る「おしゃべりポスター」
これは、MESHの「ボタン」ブロックと「スピーカー」ブロックを使ったシンプルなアイデアです。
- 準備するもの: MESHボタンブロック、MESHスピーカーブロック、タブレット/スマホ(MESHアプリインストール済)、ポスター用紙、ペン、両面テープなど。
- 作り方:
- ポスター用紙に絵や文字を描きます。
- ポスター上の特定の場所(例:「ここを押してね」と書いた場所)にMESHボタンブロックを両面テープで貼り付けます。
- MESHスピーカーブロックをポスターの裏側などに固定します。
- MESHアプリで、ボタンブロックとスピーカーブロックを接続します。ボタンが押されたら、アプリにあらかじめ録音しておいた音や、特定の効果音を鳴らすように設定します。
- グループでの取り組み: 一人がポスターのデザイン担当、一人がブロックの設置担当、一人がアプリでのプログラミング担当、といった形で役割分担ができます。どんな音を鳴らすか、どんなメッセージにするかなどをみんなで話し合う過程も学びになります。
アイデア例2:動きに反応する「見張り番ロボット」
これは、MESHの「動き」ブロックを使ったアイデアです。
- 準備するもの: MESH動きブロック、MESH LEDブロックまたはスピーカーブロック、タブレット/スマホ(MESHアプリインストール済)、空き箱、紙、装飾材など(ロボット本体を作る材料)。
- 作り方:
- 空き箱などを組み立てて、ロボットのような形を作ります。
- ロボットの内部など、目立たない場所にMESH動きブロックを固定します。
- MESH LEDブロック(目が光るように)やスピーカーブロック(警告音を鳴らすように)をロボットに取り付けます。
- MESHアプリで、動きブロックとLEDブロック/スピーカーブロックを接続します。動きブロックが特定の揺れや傾きを検出したら、LEDを光らせたり、音を鳴らしたりするように設定します。
- グループでの取り組み: ロボットのデザイン担当、ロボットの組み立て担当、ブロックの設置担当、アプリでのプログラミング担当に分かれます。「どんな動きで反応させるか?」「どんな光り方、音にするか?」などを話し合い、協力して一つの作品を完成させます。
複数ブロックを組み合わせた応用例:ミニお化け屋敷の仕掛け
これらの基本的なアイデアを組み合わせることで、より複雑で楽しい「仕掛け」を作ることができます。例えば、いくつかのグループに分かれて、それぞれが異なる「仕掛け」を作り、それらを組み合わせて小さな「お化け屋敷」や「からくり部屋」のような空間を作り上げることも可能です。
- 部屋が暗くなったら自動で光る仕掛け: MESH「明るさ」ブロックと「LED」ブロックを使用。
- ボタンを押すと隠し扉が開く(ように見せる)仕掛け: MESH「ボタン」ブロックと、「動き」ブロックや「スピーカー」ブロックを組み合わせ、「扉が開く音」を鳴らしたり、「扉が動くような振動」を与えたりする。
- 特定の場所に近づくとセンサーが反応する仕掛け: MESH「人感」ブロック(別売りの場合あり)や「明るさ」ブロック(影で反応させる)と、「スピーカー」ブロックや「LED」ブロックを使用。
グループごとにアイデアを出し合い、役割分担をしてそれぞれの仕掛けを完成させ、最後にそれらを組み合わせて一つの世界を作り上げる過程は、子供たちの創造性、問題解決能力、そして何よりも協力する力を大きく育みます。
準備と進め方:手軽に始めるためのステップ
MESHブロックを使ったグループ活動は、比較的少ない準備で始めることができます。
- 必要なもの:
- MESHブロック(活動内容に合わせて必要な種類のブロックを用意します。スターターセットなども販売されています。)
- タブレットまたはスマートフォン(MESHアプリがインストールできるもの。複数人で使う場合は数台あると便利です。)
- MESHアプリ(無料)。
- 仕掛け作りに使う身近な材料(段ボール、紙、空き箱、粘着テープ、ハサミ、ペンなど)。
- 進め方のステップ:
- ステップ1:MESHブロックに触れてみる(導入)
- まずはそれぞれのMESHブロックがどんな機能を持っているか、実際にボタンを押したり、動かしてみたりして触感を確かめます。
- MESHアプリを開き、簡単なブロックのつなぎ方(例:ボタン→LED)を体験します。一つの操作が別のブロックの反応につながる楽しさを知ることから始めます。
- ステップ2:作りたい「仕掛け」のアイデアを考える(計画)
- 「どんなものを作ってみたい?」「どんな面白いことができそう?」と子供たちに問いかけ、自由にアイデアを出してもらいます。テーマを決めて(例:「楽しい音の出るおもちゃ」「秘密のメッセージを送る装置」など)アイデアを絞り込むのも良いでしょう。
- グループ内でアイデアを共有し、一つまたは複数のアイデアを選びます。
- ステップ3:必要なブロックと材料を準備する(準備)
- 選んだアイデアを実現するために、どのMESHブロックが必要か、他にどんな材料が必要かを考え、準備します。
- ステップ4:仕掛け本体を作り、ブロックを配置する(制作)
- 段ボールや紙などの材料を使って、仕掛けの物理的な部分を作ります。
- 作った仕掛けの中に、適切なMESHブロックを配置します。
- ステップ5:MESHアプリでプログラミングする(プログラミング)
- タブレットやスマートフォンでMESHアプリを開き、使うブロックを認識させます。
- アイデアに従って、ブロックを線でつなぎ、それぞれのブロックの詳細設定(例:ボタンを押した時の音、動きを感知するしきい値など)を行います。
- ステップ6:テストして改善する(評価・改良)
- 作った仕掛けが意図通りに動くかテストします。
- もし上手くいかない場合は、どこに問題があるのかをみんなで考え、プログラミングや仕掛け本体を修正します。この「トライ&エラー」の過程が非常に重要です。
- ステップ7:完成した仕掛けを発表・共有する(発表)
- 完成した仕掛けを他のグループや大人に見てもらい、どんな仕掛けで、どのように動くのかを説明します。作ったものを発表する経験は、自信や表現力を育みます。
- ステップ1:MESHブロックに触れてみる(導入)
MESHを使った活動で育む力:教育的意義
MESHブロックを使った「仕掛けづくり」は、単に手を動かしてものを作るだけでなく、子供たちの多様な能力を育む教育的な意義があります。
- 論理的思考力と問題解決力: 「Aが起きたらBが動く」という因果関係を考え、ブロックの組み合わせや順番を論理的に組み立てる力が養われます。また、上手く動かなかった時に原因を探し、解決策を見つける過程は、問題解決の能力を高めます。
- 創造性と表現力: 自分のアイデアを形にする過程で、既成概念にとらわれない自由な発想が生まれます。また、作ったものをどのように見せるか、どのように説明するかといった表現力も同時に育まれます。
- 協調性とコミュニケーション能力: グループで一つの目標に向かって協力する過程で、アイデアを共有したり、互いの意見を聞き合ったり、役割を分担したりといったコミュニケーション能力や協調性が自然と身につきます。
- 物理世界とデジタルの連携理解: 身近な物理的な操作(ボタンを押す、ものが動くなど)がデジタルな情報処理を経て、別の物理的な現象(光る、音が鳴るなど)につながることを体験的に理解できます。これは、現代のテクノロジーへの理解の基礎となります。
これらの力は、将来どのような分野に進むにしても役立つ、普遍的な学びの基礎となります。
まとめ:身近な遊びからプログラミングへの一歩を
ソニーのMESHブロックを使った仕掛けづくりは、子供たちが遊びを通してプログラミング的な思考に触れることができる素晴らしい機会です。物理的なブロックを組み合わせ、アプリで簡単にプログラミングすることで、身の回りのものが面白く変化する様子を体験できます。
特にグループで取り組むことで、一人では思いつかないようなアイデアが生まれたり、友達と協力して困難を乗り越えたりといった、豊かな学びの経験が得られます。準備も比較的簡単で、特別な専門知識がなくても始められるため、ご家庭や地域の活動などで、ぜひ子供たちと一緒に「身近なものをプログラミングする」楽しさを体験してみてください。